フフンとほくそ笑んでいると「本当、嬉しそうですね」と君島が言う。竜崎も厭らしい視線を向けながらニヤ笑いする。

誤解も甚だしい。

「やだぁ、何を言っているんですか、恥ずかしい」

女が君島の背中をバチンと叩く。
言われたのは僕だ。何故、君が照れる。

「それにしても、事実は小説より奇なりだったわね」
「本当、あの時点で決別すると思っていました」
「フン、そうなれば良かったものを!」
「パーティーの後、二人に何か有ったのかしらぁ」

竜崎、君島、赤城の三名は、本人たちを差し置き、推理合戦を始める。
仕事をしろ!

「ーーでぇ、どうなの? 泣き脅し作戦で勝負有った! じゃない?」

だが、流石竜崎だ、いいところを突いてくる。

「ーーそれは、ウフ、二人だけの秘密です」

止めろ! そのウフが誤解を呼ぶのだ。

「あれっ、矢崎課長、顔が赤いですよ」
「何! 能面矢崎の面が剥がれた?」

竜崎が「これは、一大スクープだわ」と携帯を取り出し……。
何を勝手に写真を撮っているんだ!
「広報に進呈しなくちゃ」と画面をタップする。