車を停めた俺は、とりあえず放置してたスマホを手に取ってLINEとSNSをチェックする。
ミーティングに来る知り合いからの連絡の通知をひとつずつ減らしていっていると、ゆうが俺の車の窓をコンコンと叩いてきた。

「どーした?」

窓を開けてゆうに問いかけてゆうの顔を見た瞬間だった。「どーした?」って問いかけの答えがすぐに分かった。ナナちゃんだ。

「ねぇ!ナナちゃんから連絡きた?きた?きた?」

鬱陶しい猿を押しのけながら、俺はしょうがなく自分宛の連絡を後回しにしてSNSをチェックした。どーせきてないだろ。とか思いながら……

「来てるわ」

まさかだった。まさかの返信が来てた。

『 私、今日青いパーカーにショーパンで行くんで見つけてください!』

…ナナちゃんビッチ?
って俺の心の中は驚きと不信感でいっぱいだった。そんな中、隣の猿は…

「青いパーカー…探すぞ!探すぞ!」

もちろんやる気のようで。目が輝きすぎてついていけねぇとか思いながらため息をついて俺はまたスマホをいじりだした。
そんなやる気のない俺にゆうもため息をついてブツブツブツブツ小声で散々嫌味を言われた俺は面倒くさくなって、ナナちゃんに返信をした。

『俺はデニムシャツに白のスキニーで、ツレはボーダーのセットアップ着てる!見つけたら俺らも声かけるから、もし見かけたら声かけて!』

「これでいーか?」

我ながら本当に友達思いだと思うよ俺。

「ありがと一生ついていきます。」

まじなんで俺こんなバカ猿と友達やってんだか…。

「てかさ、今日やべぇ奴来るらしいよ」

なんだやべぇ奴って。ほんと日本語弱いんだよなぁ。

「は?」

そんな日本語弱い奴にこんな返しする俺も俺だけどさ。

「なんか有名人いるやん?女でさー…キャンギャルやったりしてる…あのー…」

「うる覚えかよ。てか、興味ねぇもん俺女。」

「あのさ内装やばくって、ネイビーのなんだっけ…」

俺の話フルシカトかよこいつ…。てかほんと俺女興味ねーしなぁ。どうでもいいんだよな。

「ゆう、ナナちゃん探しに行くぞ。」

だから、そんなどうでもいい話終わらせるために俺はナナちゃんをフル活用した。
すると単純馬鹿な猿はコロッと表情を変えて腕まくりして

「行くぞ!」

って大声をだしやがる。使えるな、ナナちゃん。最高のエサだわー。この猿のエサとかバナナじゃねーかナナちゃん。
とかくだらないこと考えながら俺らは車から離れた。