彼との出会いは…突然で、運命のようでした。

<受信 : 渉 美菜いまどこいんの?もう授業始まる。>

親友の永谷渉からのメールで私は半泣き状態になる。
あぁぁもう!
ここどこ?!
及川美菜(16歳)ただいま迷子中です。

入学してはや2ヶ月。今だに方向音痴の私はこの校舎の作りがよくわからない。

友達も親友の渉しかいなくて、そんな渉は前の時間にあった移動教室から一人で戻ってしまい…道のわからないままうろうろ歩いてたらどこかわからなくなってしまった…。

《送信:わかってるよ!!だけど今どこにいるのかわからないの…。》

あぁ…16にもなって迷子なんて…情けない

<受信:渉 はぁ…?まじかよ。
授業終わったら迎えいくから
後でどこいるかメールして。>

ほんと…渉には頭が上がりません。
ぶらぶらと歩いていると中庭にでてしまった。
中庭には一つのベンチ。それだけしかないからあまり人が寄り付かないって聞いたことある。

そうだ!ベンチに座って待ってよう。

そう思ってベンチに近づくと誰かが横になっていることに気がついた。

うわぁ…カッコイイ人…
思わず見とれてしまうくらいの美形で…
まつげなんて私より長いし…モテそう。

じっと見てるとブルっと震える男の人。
…寒いのかな。
六月上旬だしまだ外で寝るのには寒いよね…。
私は着ていたブレザーを脱いでその男の人にゆっくりかける。

よし。これでバッチリ。

そう思った瞬間ゆっくりと綺麗な目が開く。

「…あんた…誰、」
「へ…っあ、えっ…い、1年A組の及川美菜です!!」
「…このブレザー…」
「あ、寒そうだったんで…」
「かけてくれたんだ?」