物覚えが悪い俺はクラスメートの名前を覚えるのも一苦労だった。

なっちゃんは、夏目 とか苗字のほうの "な"

なのかか はたまた

なつき とか下の名前のほうの"な"なのか。

わからん。さっぱりわからん。

「なっちゃんたち!さきにいっちゃった!」

2度も言ってきた。

どういうアピールだ…置いていかれた可哀想だろう便乗しろ…のアピールなのか?

それとも、お前も置いていかれたんだろう?のアピールなのか?

「えっと、そうなんだ。」

そう言って俺は先に歩く。

特別棟にある音楽室は少し遠く しかも 3階にあり 俺らの教室棟からはだいぶ距離があるのだ。

俺は1人で向かった…向かったはずなんだ。