つまり…一刀斉が、私の体を動かして…

坂には誰も歩いてない

私だけが、遅刻寸前なのだ

…正門が見えてきた!

生徒指導の先生が待ち構えている

ちらっと時計を見る

あと1分!

先生が扉を閉めかけている…

ああ、待って待って!

ここまで頑張ってきたのに!

交差点で車にひかれそうになりながら…

15メートルの川を飛び越えて…

心臓破りの地獄坂を駆け登って…

閉まる!閉まる閉まる門が閉まる…
待って待って待って!

その時!

「待たれい!」

えっ、誰?

私の声だけど?

「おのおのがた、待たれよ!

しばらく!しばらく!」