近道はもうない。

あるのは…学校までの、心臓破りの登り坂

通称、「地獄坂」

体育会系のマッチョな連中でも、自主トレでこの坂を走って上るとき、今にも死にそうな表情を顔面一杯に浮かべている

坂だらけのこの街特有の…どこにいっても坂、坂、坂…

地獄坂に差し掛かった、速度を緩めないまま

『いっとーさい!いっとーさい!
ちょっと、休ませてよ!』

走りながら、ふうふう言いながら、「そいつ」にお願いする

…返事はない

それどころか…上り坂に関わらず、ペースは上がっていく

ふうふう、はあはあ言いながらも、足だけはツッタカツッタカ勝手に動いて、私を坂の上へ上へと運んでいく