リョウ君の敗けだ

双方中央に戻り、蹲踞

3歩下がって、一礼

リョウ君は少々肩を落とした様子で、鏡心館の列に戻り…面を取る

「ごめんなさい、ごめんなさい!
先鋒で、負けちゃって…」

ミハルさんは、鬼のような形相

「リョウっ!」

「ひゃ、ひゃいっ!」

「…まあ、頑張ったから、四の字固めだけで、許しといたるわ」

リョウ君は、すでに泣きそうな表情…

「きえええええっ!」

次の試合は、すでに始まっている

次鋒、溝口さん…

女子大生。文学部で、日頃おしとやかな大和撫子だが、稽古の時は豹変する

「しゃあっ!」

獣のような威嚇の声を上げ、相手と間合いを詰める