『え?何が?』

『悪しき、モノが…
まこと、あの女を…』

まさか?

眼球だけ動かして、左前方を見てみる

レイカの席の辺り…

「はっ!」

あれは…

後ろ姿しか見えない彼女

下を向いている

先生の授業を聞かず、手元でこっそりと、スマホをいじっているらしい

そのレイカの頭の上に…

それは…空中に浮かんでいる

『あ、あれは…?』

『…見えるか、まこと…』

黒い渦…いや、黒い雲のようなもの

やがてそれは、徐々に人の形に姿を変える

頭にヘルメットみたいなものをかぶり、

体には、剣道の防具みたいなものを付けて…

後ろ姿しか見えないけど…