言われた意味がわからなくて、ぱちぱちと瞬きする。

ふざけているわけでもなんでもなく、本当に意味がわからない。だって。



「完成するから、

両親と合流する予定だったんですよ……?」



「お前の親が、お前に嘘ついてんだよ」



「え、どうしてですか?」



「元々は自殺する予定だったからだろ」



淡々と。

告げられた真実に、背筋がひやりと冷えた。



なにそれ。 ……なに、それ。

自殺する予定だったって、なにそれ。




「珠王と八王子にお前を任せて、お前の両親は15年分の研究を抹消するのと同時に自殺するつもりだった。

結局はそうせずに済む方法を考え出したみたいだけどな」



ぐらぐらと、視界が揺れる。

何も知らない。何も知らないから。そう言われたって、キャパオーバーで理解できなくて。



「ちゃんと、おしえて、ください……」



ただ。理解できなくても、明確なのは。

幼い頃からの夢が一瞬にしてぼろぼろに崩れ去っていくような、無限に広がる喪失感。



「ッ、」



先輩の口から聞かされる"真実"は。

わたしが知っているはずのものと、大きく違う。



それでも、見逃してしまわないように。

まっすぐに見つめて最後まで話を聞き終えた時。言葉よりも涙がこぼれ落ちるほうが、早かった。