──日本時刻、12月25日。午後1時すぎ。
ハワイ時刻、12月24日。午後6時すぎ。
「爆発、した……?」
電話の向こうから聞こえた言葉を、震える声で反芻する。
ホテルの大きな液晶テレビをつけて、チャンネルをカチカチと変える。
行き着いた先で唯一放送されている日本のニュースには当然ながら時差があって。
わたしが今知りたい情報は、流れない。
舌打ちしたい気分になったけれど、それを上回るのは。
自分の中で湧き上がる、じりじりと焼け付くような恐怖心。
指先が、震える。
もし、何かあったら。
……何かあったら、どうすればいいの?
「っ、両親、は……」
『ご両親は無事だよ』
はっきり聞こえたそれに、ホッと息をつく。
ひとまず日本に帰国すればいいんだろうか、と。冷静になって考えていれば、何やら電話の向こうが騒がしくなって、『また連絡する』と切れてしまった。
政界のお偉いさんはどうやら忙しいらしい。
「いつみ先輩に、電話してみようかな……」
珠王の跡継ぎだから、実験棟が爆発したことくらいは知っているかもしれない。
勉強中だったら申し訳ないなと思いながら、彼に電話しようとスマホに触れたそのとき。
ピンポーン、と。
──部屋のベルが、鳴らされた。