ゴールしたところで、まだゴールできていない人たちを見つめる。

盛り上がる声が聞こえるけど、3分半というタイムリミットの中でゴールできたのは10人だけ。1回に20人でスタートだから、半分だ。ちなみに莉央や大和は1回目ではないらしい。



『それでは、ゴールした順番にお題のチェックをしようと思います』



マイクに声を通し、歩み寄ってきた男の子。

手にはケーブルのつながったハンドカメラがあって。



グラウンドにあるどデカイ液晶に、そのカメラがうつした映像が流れる仕組みらしい。

どうやったって嘘はつけない状況だ。



『ではまず1番に姫川さんとゴールしたロイヤル部の騎士くん!

お題の内容をこちらのカメラにうつして、マイクで内容をどーぞ』



やけに楽しそうな進行役の彼。

ふっと笑った椛の姿が液晶にうつりこんで、それだけで女の子たちが湧く。



うん、今日も色気垂れ流しだ。

オレンジベージュの髪が映える季節になってきたなあ、と。そんなことをぼんやりと考えていたら。




『南々ちゃん』



「えっ、あ、はい?」



静かになったグラウンドに響く、椛のマイクを通した声。

いきなり呼ばれると思わなくて慌てて返事すれば、焦るあまりにその声の一部を彼の持つマイクがひろった。



『ごめんさっきの嘘。……好きだよ』



ぺらっと、見せられた紙。

そこに書かれた内容が『好きな人』であることを理解した途端に、カッと顔が熱くなって。



「え、うそ、いまの告白……!?」



キャー!!と。

彼のお題を聞き逃さないようにと静かだった空間がまるで嘘だったかのように、一瞬で大騒ぎになってしまった。