学科も人数も多いため、体育祭のプログラム消化スピードもかなり早い。
わたしはずっと救護席にいるけれど怪我人が少ないから、保健室の先生といくみさんがいれば十分手が回るため、何もしないという申し訳ないことになっている。
そんな中で午前プログラム最終は、借り物競争。
中学の時にはなかったから、実際に体験するのははじめてだ。
……見てるだけで参加するわけじゃないけど。
椛、莉央、あとは大和も参加するようだから、それをテントから遠目に眺めていたら。
「あら。椛こっち来てない?」
「……来てますね」
あきらかにこっちへ来ている椛。
借り物競争は、スタートして用意されている紙から1枚取り、条件に合った物やら人やらとゴールするだけ。
あとでゴールした人の中から順番に紙の内容を確認して、判定がOKなら順位がつくというもの。
「南々ちゃ〜ん、いっしょに来て?」
「……はぁい」
ゴールするのが優先だから、ゴールしたらお題を教えてもらおうと。
手を引かれて、ゴールまでちょっとだけ早足で向かう。ほかはなかなか借り物が見つからないようで、そのペースで行っても1位だった。
「椛、お題なんだったの?」
「ん?ああ、『王学の姫』」
……なるほど。
王学の姫かはさておき、ロイヤル部の姫と呼ばれるわたしで一応条件はクリアだろう。
自分で姫って認めるのがとんでもなく恥ずかしいけど。