「………」



でももし運動できるところをみんなが見たら、先輩に惚れる女の子がまた増える……と。

彼女でもないのにそんなことを思ってしまうあたり、わたしも相当重症だと思う。どうせ言えないくせに、ずいぶんと卑怯な女だ。



「つらくなったら言ってくださいね。

今日のわたしはなんせ救護係ですから」



「ふうん?

頼んだらずっとそばにいてくれるのか?」



「な、っ……」



踊らされるな。

そう自分に言い聞かせても、先輩を好きな気持ちだけがふくれ上がってしまう。



本当にそばにいてほしいのは、わたしの方だ。




「……よっぽど体調が悪いなら、考えます」



「へえ。冷水でも浴びてくるか」



「馬鹿ですか!?

体調悪い時に冷水浴びたら風邪治らないじゃないですか……!」



「……だから、だろ」



ふっと小さくため息を落としたいつみ先輩。

それから、「お前ら着替えてこいよ」とわたし以外のみんなに声をかける。



ちょうどお弁当も出来上がったようで、明らかにお弁当を詰めるサイズではない大きなアルミのバッグを椛がテーブルに置いた。

重箱がふたつくらい入りそうだな、と。



そう考えているうちに、各々部屋に着替えに行ってしまい。

気づけばリビングに、先輩とふたりきり。