「……なあ、今更だけど役員ってそういうのアリなのかよ?」



「そういうの?」



「言ってたじゃねえか、いつみ。

「2年になったら俺が会長に頭下げて莉央のことも生徒会役員にしてやる」って」



無事に生徒会役員になった俺が、本気で頭下げたのかって聞いたら「企業秘密だ」の一言で済まされた。

高校に入ってからは、中学時代のメンツとは一切縁を切った。……中途半端に離れるならいっそ引き裂かれる方がマシだと思って、俺はあの時屋上から飛び降りようとしたけど。



「そういえば莉央、髪染めたんだな」



「おー。似合うだろ臙脂」



「……何でその色にしたんだ?」




いまはその考え方が嫌いだ。

……どう足掻いても、離れたくねーヤツがいるから。



「お前があの日引き止めてくれなかったら、

俺が流してただろう血の色」



「、」



「でも別にネガティブにとらえたわけじゃねーんだよ。

……お前に「くれてやる」って言ったあの日の発言を、自分でも忘れねーようにな。ちゃんと目に見える形で残しときたかったんだよ」



まあどうせ、こんな風に目に見えなくても、あの日の言葉は一生忘れたりしねーんだけど。

あの夏の日、俺はひそかに心の中で決めた。



何があってもコイツに、一生ついていこうって。

……だから、南々瀬を最初は拒んだ。



コイツを危険な目に遭わせるわけにはいかねえから。安全か危険かもわからない存在を、そばに置いておきたくはなかった。

今はあの時の俺と同じ考え方を持ってるお前のこと、嫌いじゃねーよ。……ただひとつ。