ロイヤル部のメンツは、それぞれ家に関する事情を抱えてる。

いつみ、ルノ、ルアは、家柄の事情を。夕帆は両親が離婚しているし椛の家族はほかとは少し違う。──その、中で。



「罪悪感なら捨てろって言っただろ?」



「……んなんじゃ、ねーよ」



俺だけが違った。

俺だけが、どんな理由もなかった。



「……なら、なんでそんな顔してんだよ」



いつみが、夕帆が、椛が、ルノが、ルアが。

叶いもしないとわかっているのに、喉から手が出るほどにほしかったもの。"普通"の家族。



そこに生まれた俺は、その苦しみを分かってやれない。

南々瀬のことを、受け入れると決めたあの日。俺はあいつの考え方は嫌いだと言った。──だけど。




「南々瀬に話してこい」



「、」



「お前が抱えてるもん、全部あいつに曝け出してこい。んで、あいつの返事を一字一句聞き逃さずにもどってこい。

……その上で俺に言いてえことがあんなら、いくらでも聞いてやる」



その上で南々瀬を受け入れると決めたその理由。

『引き裂かれた方が未練を残さなくて済む』という、俺が忘れもしないあの言葉。



一緒だったからだ、滑稽なくらいに。



「……、わかったよ」



昔の俺と、一緒だったからだ。

ばかみたいで、滑稽で、どうしようもなくて、救いようのない俺と。