神木竜馬(かみきりゅうま)。


何を言うわけでもないし、授業中積極的に参加するわけでもない。

だけどなぜだかわからないけれど存在感だけは圧倒的で、いつまでも謎に包まれている人。

神木竜馬と言えば、誰もが、あー、と、なんとも言えない表情を浮かべる。どうしてか知名度だけはすごく高い。

そんな彼が、今、定規一個分くらい離れた隣の席からじいっとわたしを見ている。

机の上にあるシャー芯と彼とを見比べ、へ?と思わず声が出そうになる。

これって…いいってこと?

わたしが困惑して彼を怪訝そうに見つめれば、すっと視線をそらされた。

え?

頭の中ははてなでいっぱいだ。

なぜに…?気づいてたの?

クラスは半年以上一緒だけど、まだまともに話したことのない上、自分は男子と交流しない系女子だ。


それが、どうして…?


だけど神木竜馬はそれっきり全く興味がないと言って風に頬杖をしてぼんやりと黒板を見つめている。


やっぱり謎だ。


でもとにかく人生終わらずに済んでホッとため息をつくわたし。