人間関係は大変だ。

声でさえ注意を怠ってはいけない。

高すぎてきゃぴきゃぴすれば、『ぶりっこ』という名のレッテルを貼られ、即世界中の女子を的に回すことになる。

その一方で、だんまりになれば、『ぼっち』という名の檻に放り込まれるのがオチだ。

だから色々とめんどくさい。

「あーあと一馬くんとか!」

「わかるー!」

そんな中、話題はいつの間にか神木竜馬に移り変わっていた。

「どうなんだろうねえ。」

「なんか、怖そうだよね。」

「わかる!」

わたしは相槌をすかさず打ちながら、周りの人とは住んでいる世界が違うように見える彼のことを思い浮かべる。

世間から見て、神木竜馬は怖いイメージがある。

別に不良というわけじゃない。ただ、怖い。

それはきっと、誰も神木竜馬のことをあまり知らないからだと思う。

「かっこいいんだよ、かっこいいんだけど…ねえ。」

夏帆も口を尖らす。

「だよねえ…なんか、愛想ないし…冷たくない?」

「そうそう。冷たいっていうか…関心がない感じ。」

「感じ悪いよねー。」

本人がいないことをいいことに、次々と女子の口から飛び交う悪口。