「荷物整えたら下に来てね。お昼ご飯できてるから」

お母さんはニコッと笑って部屋から出ていった。

「ピロ、ここが本当のわたしの家だよ」
「ホントウノ?」

わたしの複雑な家庭環境なんて知らないピロは、"本当の家"という言葉に疑問を抱いたようだ。

だけどこんなにも純粋なピロに、そんなこと絶対に話せない。なぜか暗い現実を知ってほしくないんだ。

「荷物を整え終えたらお父さんとお母さんに話すから、静かにここで待っててね」
「ウン、マッテル」

ピロはわたしが一度ひとりぼっちにさせてしまったのに、いつでもわたしの言葉を信じてくれるんだ。

やっぱりそこが素直で純粋で、わたしたち人間とは違うところなんだろうな。