なんとか着替えを終えて、窮屈なクローゼットの中から飛び出した。

賢いピロはまだ窓のそばにいてくれて、わたしの方を振り返って微笑みかけてきた。

「行こっか」

そう言葉にしてみたはいいけど、いったいどこに行けばいいのかはわからない。

わたしが学校に行っている間はどうしたらいいんだろう……

いくら賢いからと言って、家にいさせるのはとても危険だ。

おばあちゃんにバレたらどうなることか。

裏山に行かせるのが一番なのかもしれないけど、星の出ない昼にいても何も面白くはないだろう。

そういえば昨日はどこにいたのかな……

「セイヤ」

ピロはわたしの手を握って、肌を透明にさせてみせた。

そうか。透明になっておけばどこに行っても大丈夫なんだ。

わたしは透明なピロを連れて、慎重に歩みながらリビングに入っていった。