「ピロ」

リビングから出て、玄関にいるはずのピロに小さく声をかけた。

すると、ピロは気づいたようで、ドンドン足音をたててわたしの方に突進してきた。

「セイヤ!」
「痛い!」

ピロがわたしの上に乗っかって、楽しそうな顔をしていた。

それに肌の色は半透明で、いつもの臓器丸見え状態に。

「きゃあっ!」

思わず上に乗っているピロを突き飛ばしてしまった。

ぶかぶかのワンピースから少し覗いた心臓が、ドクドクと微かに動いているのが見えたんだ。

その瞬間、ピロも生きているんだって、わたしと一緒なんだって感じた。

だけど生々しいのが気持ち悪くて、つい飛ばしてしまったんだ。

それからなぜか、わたしの心臓の動きは、だんだん速くなっていく。

何のせいなのか。よくわからないけど。

「じゃあご飯にしようか」

とにかく話題をだして、その場の空気を作りあげた。