しばらくして、じっちゃんが口を開いた。

「さっきのバケモノは恐らく炎族であろう。わしら緑族の力は通用せぬ。しかし、緑族ではないアルの力は通用した。
あのバケモノは何じゃろな…考えるだけで胸騒ぎがするわい」






村人たちは、家を修理したり怪我の治療をしたりした。
何人かの村人は、オレが緑族じゃないことを知らなかった。
ユーリもオレが緑族じゃないと初めて知ったみたいだが、今まで通り仲良く話してくれた。
村の家の修理を手伝ったりしていたら、もう夜になっていた。
家に帰る前に、オレはじっちゃんの家に行った。

決意したことを伝えるために。



「じっちゃん?」

「アルか?入りなさい」

家に入ると、お茶を飲みながらじっちゃんが振り向いた。

「火傷、大丈夫か?」

「2、3日あれば治るじゃろ。…何か話でもあるのか?」

オレの顔を見て尋ねてきた。

「あ、あぁ。じっちゃん…オレ、この島出るよ」

じっちゃんは案の定驚いたが、それは一瞬だった。
少し経ってから話始めた。

「自分の種族と、そのカケラが気になるんじゃな」

オレは頷いた。

「まぁな。一生種族がわからないままじゃ何かダセーし、このカケラを持っていたら癒されるんだ。カケラがオレにとってどんな物なのか知りたい。
だから旅に出る。…両親も気になるしな」

オレの旅立つ決意は固かった。

「…そうか。わしは引き止めんよ。アルの好きなように人生を送りなさい。
ただし、無茶はダメじゃぞ。先程にも言ったが、この島はお前の故郷だ。
何かあればすぐに帰ってくるんじゃぞ」


「さんきゅーな、じっちゃん。…話はそれだけ!おやすみ」


そう言ってオレはじっちゃんの家を出た。
明日にはもうこの島を出るつもりだ。
だから今日帰って旅の準備をしなきゃな。