剣は振り方が大事だ。あと向きとか。
振りや向きによってキレ味が違うからな。

「だいぶ上手くなってきたな。んじゃ実践やってみるか」

「えーっ!ぼくにはまだ早いよっ」

ユーリが半泣きになりながらオレに言う。
オレは『大丈夫大丈夫』と言いながら、ユーリを山へ連れて行った。

村から少し離れた所に山がある。
オレたちがいる周りには、細い木が何本も立っている。

「ユーリ。この木は剣の練習にとって最適なんだ。よく見とけよ」

オレは剣を取り出し、少し構える。
木の葉が地面に落ちたのと同時に走り出し、数秒で簡単に10本ほどの木を切り倒した。

「わあ…アル兄ちゃんすごいっ!村の大会で優勝したくらいだもんっ」

ユーリがパチパチと手を叩く。

「ああ、剣士大会だろ?余裕だっての」

ニッとユーリに笑う。

「じゃあ今度はユーリの番。オレが1分数えてやるから、その間にできるだけ多くの木を切り倒すんだ。いいな?」

「できるかなあ…」

「剣の向きさえ考えれば楽勝さ。まあ、5本切り倒せば上等だな。いくぞ?よーい…」



ドーンッ!!!



村の一部が爆発した。
赤く火が燃え上がっている。

「な、なんだっ!?」

「アル兄ちゃん…村が…」

何かが暴れているようだ。
ドシドシと地響きがする。

「…村が心配だ。ユーリ、行くぞっ」

「う、うんっ」

そうしてオレとユーリは村まで走り出した。