ここは小さな小さな島。
この島を"スガル島"と呼ぶ。

平凡に過ごしていた。
海や川で遊ぶ者。
山へ木の実や果物を取りにいく者。
村で武器を作る者。
オレもその中の1人だ。


ただ平凡に過ごしていた。





「アル兄ちゃーん!!」

向こうからオレの名前を叫んでいる少年がいる。

「んでから…お、ユーリじゃんか。じゃぁじっちゃん、この話はまた今度な!」

「アル、また顔を出しておくれ」

オレはじっちゃんに笑うと、小さな男の子の近くへ行った。

「どうしたユーリ?」

「アル兄ちゃん、剣の練習しよっ!」

うきうきしながら、ユーリという男の子はオレに話す。

「わかったよ。みっちり鍛えてやる」

「わーい!ぼく早くアル兄ちゃんみたいに強くなりたい!!」

その言葉で少し照れたオレは、軽く咳払いして背中に背負っていた大きい剣を取り出した。

「やっぱアル兄ちゃんの剣、カッコいいなあ…」

「触るんじゃねーぞ。まだユーリに本物は早いからな」

「ちぇー」

ユーリは頬をふくらませた。
こうやってユーリをからかいながらも、オレはよく剣の使い方を教えている。