あるとき お母さんの携帯に
朝ちゃんから電話が掛かってきた。

電話に出ると、知らない人が出た。


『娘さんですか?貴方の…お母さんと名乗る人が今うちにいて、ここは自分の家だと言い張って聞かないんです。困っています 迎えにきてください』

夜中に車を飛ばして駆けつけると、
見たこともないくらい取り乱した母の姿があったという。


『ここは私たちの家だよ!それを横から来て、勝手に全部持ってってさ!今に娘が来る!娘が証明してくれる!!泥棒!!ドロボーッ!!』

お母さんは泣きながら謝って、
半狂乱の母を押さえつけながら車に押し込んだ。


そのとき、お母さんははじめて朝ちゃんのことで泣いたという。

その家は、お母さんたちが小さい頃
家族で住んでいた家だったらしかった。

その夜、朝ちゃんは団地に帰ることはなかった。

家に来て、お母さんのふかふかのベットで眠った。

わたしが 朝起きると
リビングに朝ちゃんがいた。


何かがあったんだなと
わたしはそこで察した。