「でも咲良は俺の願いで死ぬことはなくなったし、咲良の願いは……」

「例え時間が戻ったとしても、願いと代償は残る。まあ、詳しく説明してもわからぬだろう」




 さらっと馬鹿にされた。
 理解は出来ないけれど、咲良が生きていても願いが無効になることはないのか。




「なぜ困った顔をしておるのだ?」

「いや、だって……」




 姫巫女が可笑しいと言い、クスクス笑い出す。




「一ノ瀬咲良に感謝することだ。お主が死を覚悟したことにより、これからの幸せが約束されるのだ。その効力はお主の契約にも反映されるであろう」

「どういうことだ?」

「つまり、一ノ瀬咲良を死なせないための代償。それが無効となる。お主にとって、足枷である代償は幸せとは言えぬのだ」

「…………よく、わからない」