「あの公園に霊体となって一ノ瀬咲良は現れた。未練があったとみえて、願いを叶える契約の話をしたのだ」




 幽霊までもが姫巫女の契約対象であることに驚いた。本当に人間じゃないな。




「しかし、自分の命はどうでも良いと答えたのだ。もちろん未練あるまま死んでしまったのは悔しいが、それが運命だったのだから仕方がないとな。強い女だ」




 そうだ。咲良は強い。
 誰よりも強くて、自分のために何かをしようとする女じゃない。いつも誰かのために動いていた。




「ただ、願いは叶えたいと申し出た。叶えたいものは雨宮亮。お主の幸せだ」

「俺? なんで、俺が……」

「苦しむお主の姿を見たのだと言ってな。悲しませたことを悔やんでおったぞ」