「あ…。あの、先輩?」


「何?理緒ちゃん。」


優しい顔で先輩が振り返ってくれる。


どきどきして急に恋してる女の子のようにモジモジしてしまう。


「さ、沙空さんは…?今日は日曜だからデートとか…?。」


ギクッと先輩が目をそらす。

言おうか言わないか悩んだような顔をして、ダージリンティーのグラスを一口、口の中を湿らせて、言った。


「さっきさ…別れちゃったんだよ…。」



えっ


ガチャン。


―いってててて。


テーブルの下にあった足が勝手に立ち上がろうとして、膝をぶつけた。


グラスが少し浮いて、ダージリンティーがこぼれた。


「あーあー。ティッシュ貸して…」


「ごめんなさい。先輩かかってない?」


「大丈夫!そちら姫の膝は?強打してますけど。」


「いえ。平気っす。それより、なんで……。」


…。


私の一言に沈黙が続く。
沈黙を破りたくて私は言った。


「聞かなきゃ良かったね。」


「いいや。いずれは言わないといけないもんね。」


先輩は話してくれた。


「一人で生きてけばいいとか言われてさ……。」