「姉貴が一番疲れてましたよね。」


貴くんがぽつりと言った。


「大好きな人のそばから引き離されて、我慢して子育てしてさ。挙句の果てに家族はないがしろ。足並みはそろわないし…。」


貴くんの頬に涙がつたう。


「姉貴だってきついとこあるから、神村さんに嫌だって言えりゃ良かったんだよ…。」


「貴…。」


「そんな言い方ないと思う…。お姉さん怖がってたんだから…。私だってはじめてがそんなんだったら、男嫌いになるもん。」


日菜ちゃんが貴くんに反論する。女性と言う立場で…


「そこなんだ。恐怖がからんでるから、自分の気持ち消しちゃったんだよ。そんなことするから自分をみうしなっちまう。」


貴くんが、涙を拭いた。


「シスコンでごめんな~。でも今は日菜が一番ですから…。」


貴くんと日菜ちゃんが見つめ合う…。そのままキスしそうなんですけど、僕がいること忘れてません?


僕は軽く咳払いをして存在をアピールする。


「あっそっか。ここ日菜の家じゃなかった。」


貴くんが頭をかきながら照れた様子でごまかしていた。