そう言って貴くんは捨てておいてと頼んでおいたはずの沙空のプリクラを出した。


理緒が笑うに笑えない顔をする。


「沙空さん…怖くないのかなぁ…。」


ふと理緒がつぶやいた。


確かに理緒にしてみれば神村は怖い存在。彼が付き合う女性のことを心配してしまうのも分かる気がする。


「姉貴…それはもう考えない方がいい。過去に引き戻されるよ。」


貴くんが、萎んでゆく理緒を膨らますように声をかける。


僕は理緒の手を握った。


ハッとして僕の顔を見て、手を握り返してくれた。


「ごめんね。姉貴…。日菜には姉貴のこと喋ったんだ…。時々相談してしまうこともある。」


貴くんが、申し訳ないと頭を下げた。


「貴さん、いっつもお姉さんの心配してて、たまにヤキモチ焼いて喧嘩します。貴さんお姉さん大好きみたいで…。」


日菜ちゃんの言葉に理緒は、横を向いてしまった。
肩を揺らして、次第に両手で顔を覆う…。



まさか泣いてる…?



貴くんが慌てて僕の顔を見た。


「ごめっ、姉貴。やっぱ安易に話すことじゃ…。あれ?」



貴くんが話すのをやめて、理緒の顔を覗きこんだ。