雨があがって停電が直ったころ、理緒のケータイにメールが入った。


神村だった。


「今日はこのまま帰らねぇから、よろしく。」


ケータイを閉じて、理緒がつぶやいた。


「いつもはメールなんてよこさないのに…変なの。」


時計の針は0時を回っていた。


「先輩は明日お仕事ですか?」


「休みですよ。でもそろそろ帰らないとね。」


「うん。」


元気のない理緒の返事。


「まさか、寂しい?」


理緒がコクリとうなずく。


素直だなぁ…。


そんな顔されると泊まって行きたくなるよ。


その時だった。


今度は僕のケータイが鳴る。


「誰だろ…。」


できれば理緒ともう少しまったりしたかったんだけど…


おもむろにケータイを開く。


貴くんだった。


「貴くんからです。どうしたんだろうね…。」


「今、残業終わって彼女と飯食ってるんですけど、神村さんが女性といるんです。」


という内容だった。


「今日はそういう日らしいよ。」


と僕が送り返すと、すぐさま返事がきた。


「その女性、兄貴の元カノですよ。おかげで飯が喉通りません…。」