僕は、理緒のすべてに触れていた。


小さく震える理緒。


「怖い?」


僕は耳元でささやく。


「怖いけど、怖くないよ。今離さないで…。離された方が怖い…。」


理緒がつぶやいて、僕にしがみつく。


「大丈夫。痛いことしない…。」


理緒はひとつうなずくと、僕にキスをしてくれた。


理緒は暖かかった。


僕は優しさに包まれて、そして僕らはやっと一つになった。


長い間離れ離れで過ごしたことを取り戻すかのように、必死にお互いを求めあった。






理緒が切ない声をあげる。


「ん…ぅ。ぁ…。」


か細くて高い声に時々不安になる…。


「理緒…。名前呼んで…」


「ぁ…ぃっ、ぃじ…ゎる。」


「いじわるに聞こえる?呼んでくれなきゃ不安だよ…。」


「せんぱ…ぃ。」


「違うっ…名前呼んで…」


「ぁっ…晶、ぃぃ。」


「理緒…。」


「晶…もぅ、どこにも行かないで!」


「あぁ、そばにいるよ。約束する…。」


やっぱり僕らの間にはゆっくりとした時間が流れている。


街の喧騒や人々のざわめきなんかが、焦ったように過ぎ去って行くのに…