つばめが目の前を飛んでいる。




子育てにいそしむつがいのつばめは夏が来る前に世話しなく飛び交いおしゃべりをしながら…



この季節になると思い出す。




つばめは空を切るように、高度を低くして鋭く飛んで来た…




恋は盲目というけれど




このつばめたちは飛ぶのに盲目?




片隅には色とりどりの紫陽花が咲き誇る…




あの頃の僕らを包んでいたあの紫陽花のように…




懐かしいあの子の声…




あの子のぬくもり…





まだココロのまんなかはぽっかりと口を開けたままだ。




僕の心の時間はあの時のまま止まっている。




蝸牛が石の塀をゆっくりとのぼり、




太陽に目を細める。



僕の心はこの蝸牛よりのんびりしてる。



そんな蝸牛の背中を追いかけて



視線のさきの太陽が眩しくてつい目を細める。




眩しくて暖かい陽射…



僕の視界にまぁるい光の粒でいくつもいくつも入ってくる




まるであの子の暖かさのようだ…。




あの子の暖かさが視界を通して心に染み入ってくるように。