その山形へ向かう途中、遥香のケータイに赤井から電話が掛かってきた。

「赤井さん、どうかしたんですか?」

遥香はすぐにその雰囲気を感じ取った。

『実は、あれから立て続けに2件、同様の事件が起きました』

「え!本当ですか!?」

『ええ…』

「やっぱり、それぞれ…首が違うんですか?」

『ええ、まあ』

「もう3人も…」

遥香自身、次の被害者が出るだろうとは思っていたが、こんなに短期間でとは思わなかった。

『それで、そっちで何か分かりましたか?』

赤井にそう聞かれて、遥香は女の子の霊のことは省いて、これまでのことを説明した。

『やっぱりうつりという妖怪みたいなのがいるということですか…』

「それが首だけの何かとは想像できますが、まだそれが、何をどうするかまではわかってないので…」

『でも、そこまでしてそれを防ごうとしたということですよね…』

「はい…」

『できれば、退治方法まで調べられることを祈っていますから。私達では終わらせることも、いや、防ぐことさえできないみたいなので』

「赤井さん…」

『では、お気を付けて』

「赤井さんも」

遥香は電話を切った後、教授を見た。

教授もその視線に答える様に、

「急ごう」

と静かに言った。