吉田を役場に送って、役場の駐車場でみんなが車に乗り込んだ。

「さて、この後はどうするかな…」

教授が呟いた。

ここに来る前に判明していたうつりに関係しそうな場所は以上だった。

「あの、私何となく思ったんですけど」

「ん?」

「うつりに対する恐怖感がこっちに来るにつれて、段々薄れた気がしませんか?」

「いや、そのとおりだな」

教授も頷いた。

「多分、本当の発祥の地は青森辺りだろう。そして、その周辺までは、かなりの恐怖感があった。だから、直接名前を出すのも避けて記録が残らなかった」

「でも、ここまで来ると、あまり恐怖感もなく、ただ、北の方の風習を真似ただけ…という感じですよね?」

遥香が呟く様に言った。

「そのとおり。だからこそ、うつり塚が首塚だとはっきりもしていた。ある意味、調べるならこの辺の地域なのかもしれない」

「あとは、山形でのうつりの絵ですね」

「そうだな。それが一番決定的かもしれない」

教授は頷いた。

「今の所その手掛かりがないが、うつり塚もあるかもしれないし、とりあえず行ってみるか?旧家を当たっていけば見つかるかもしれんし」

「そうですね。行ってみましょう」

遥香が言うと、忍と季世恵も頷いた。

「よし、行こう」

教授の言葉を合図に、忍は車を山形に向けて出発させた。