「主任、小木美智子の身体に載っていた頭部はやっぱり柳静香でしたね」

三田村が、さっき報告されてホワイトボードに貼られた情報を見ながら言った。

生前の顔と腐敗した顔が並べられて貼られているのが物悲しかった。

「もう、何も疑わないさ。完全に順繰り首が挿げ替えられているだけだ。次に見つかる遺体の頭部は市倉伸子ということだろう」

赤井が市倉伸子の顔写真の横を指先でとんとんとしながら言った。

「ですよね…」

「それよりも、気になるのは、この事件の間隔だ」

「え?」

「間隔だよ、間隔」

赤井はホワイトボードを顎で示した。

「最初は、17年前の頭部。次は1ヶ月くらい。そして、今回は5日。どんどん短くなってる」

「確かに…」

「そのうち毎日遺体が見つかるとか、ないよな?」

「いや、それはやめてください」

「俺に言うな」

赤井は虚ろに答えた。

でも、何故だ?

赤井は見た目の雰囲気よりも真剣にそれを危惧していた。


「ところで…」

赤井は三田村を少し睨んだ。

「え?何ですか?」

「渕上遥香と連絡取ってないだろうな?」

「いやいや、主任に釘刺されてからは我慢してますって」

三田村は両手を左右に振った。

「本当か?」

「はい…」

「なら、いい」

そう言って赤井はまたホワイトボードを見たが、そろそろ新たな被害者の事を伝えて、向こうの情報も貰おうと思っていた。