世田谷西署捜査本部


真田が長机に両肘を付いて額を押さえていた。

「で、その第一発見者は何て供述しているんだ?」

真田はその格好のまま、顔を上げずに言った。

「酔って寝てるのかと起こそうと肩を揺らしたら、首が切れて落ちたと…、えっと、今までのと同じです」

事情聴取をした捜査一課の捜査員が立って答えた。

「そうか…、で、今回は一般人だった訳か」

真田は、今度こそ自分で確認したかったが、結局見られずに落ち込んでいるようだった。

「首のところについては、具体的には?」

真田が顔を上げた。

「目の前で赤い線が描かれる様に見えた後、首がズレ始めた、ズレ始めるまで切れているとは思えなかったと、供述しています」

「わかった」

真田は呟く様に言った。

norが見覚えのなかったその顔は、小木美智子だった。

そして、身体の方は、昨日から行方が分からないnorの真向かいの部屋の住人、市倉伸子(いちくらのぶこ)27才だと想定された。

その後、真田はしばらく黙っていたが、大きな溜め息をつくと、遺体のDNA鑑定、被害者の交流関係、怨恨の有無等、まずは今までと同じことを指示した。