「え?」

三田村はそれを見て手を離すと動きを止めた。

何もなかった遺体の首に、赤い線が左から右に描かれていったのだ。

「どうした?」

さすがに赤井が近付いた。

「何だよこれ?さっきはなかっただろ?」

赤井が三田村の肩に手を掛けて言った。

だが、その首に描かれた赤い線は、線ではなかった。

その赤い線がズレ始めて、初めて首が切れているのだとわかった。

「う、うわぁあああああ!!」

三田村が後ろに飛び退ったので、赤井も一緒に倒れ掛けたが、そんなことはどうでもよかった。

目の前の遺体の首が手前にそのままズレてきて、ゴトッと落ちた。

「うわあっ!!」

赤井は堪えたが、後ろの制服警官が悲鳴をあげた。

目の前で、落ちた首はゆっくりとその揺れを緩やかにして、止まった。

誰もが声を失って、その首に視線を釘付けにされたままだった。

赤井が気を取り直してそれに近付こうとした時だった。