「主任」

会議室を出て、三田村が赤井を呼び止めた。

「あ?」

三田村は、他の捜査員の目を逃れる様に、横手の通路に赤井を引っ張った。

「何だよ」

三田村は、通路から他を少し確認すると赤井に向き直った。

「さっき言った事は本気ですか?」

「はあ?何がだよ」

「あの生首が白骨化したのが、誰かの細工ってやつですよ」

「どういう意味だよ?」

「アレを見て、『誰かの細工』だと、本気で思ってるんですか?ってことですよ!」

言い方と違って、三田村は小声で言った。

「んな訳あるか。俺だって、アレが『人の仕業』なんて思ってねえよ。でも、さっきは刑事として答えるしかねえだろうが」

赤井がブスッとして答えた。

「そっか、そうですよね…。とりあえず、自分だけおかしくなったのかと思いましたよ。安心しました」

「何だよ、そんな事で呼び止めたのか?ほんと、お前は空気が読めねえな」

赤井はそう言うと、さっさと行ってしまった。

「主任!待ってくださいよ」

三田村は情けない声を出して赤井を追い掛けた。