さっと月明かりが部屋を照らす。
ああ。
なんて素敵なの?

私は夜が一番好き。
何処までも静かで、
優しくて何処か冷たい月明かりが琥太郎君の綺麗な顔を照らすから。

でも、今夜は違った。
月明かりと共に何かがやって来た。
それはストンと床に舞い降りた。

…人?
いや、違う。
人だけどなんて言うのかな?
なんか違う。

私がじっと見ていると人?が話しかけてきた。
「まあ、可愛い猫ちゃん!」
そして、楽しそうに笑った。

あああ!
静かにしてよ!
琥太郎君が起きちゃうじゃない!
私は怒った。

すると、人?はこう言った。
「大丈夫よ、貴女の魂に語りかけているから!彼には何も聞こえていないのよ?」

そうなんだ。
よかった。
ていうか、魂ってなんだろう?
まあ、いいか。
私は改めて人?を見た。
とても綺麗な女の人だった。
でも、何処か人間離れした雰囲気を醸し出している。

「ああ、私ったら名前を教えてないわ!私の名前はアルテミスよ!」
人?はにっこりと笑って言った。

アルテミスさん、か。
素敵な名前。