俺なんでフラれたんだ……?
乃嘉
他に好きな男でもできた…?
俺にあきた…?
俺が……――
俺はその場に立ち止まってしまった。
ズボンのポケットから携帯を取り出し、
画面に映る時計で初めて今の時刻を知った。
携帯のアドレス帳を開き乃嘉の携番にかけることを試みるが、
こんなヤバい状態だってのに俺は
発信ボタンを押せないままでいた。
俺はメールも電話も苦手だ
ダチにだって必要最低限でしかそういうことはしない
乃嘉にだって……
ほとんどしたことがなかった。
何度もしようと思うのにいつも直前のとこで躊躇ってしまう。
メールを送信する手前で
電話をする手前で
いつだって止めてしまう。
こんな俺だから
乃嘉に愛想尽かされたのかもな……
いつも乃嘉の優しさに甘えてた
乃嘉からのメールに
乃嘉からの電話に……
俺は ラクなほうばかり選んでた
全て乃嘉に任せっきりで
優しい乃嘉に
縋(スガ)ってばかりだった…………