「こんな所に駅なんかあったっけ?」

随分この街に住んでいるけど見たことがなかった気がした。
異界行きなんてふざけた名前の駅を目にして、んな馬鹿なと笑ってしまったが今の私は行けるならどこでもよかった。

不思議な事に電車はすぐに来た。
誰もいないガランとした車内に何処かホッとしながら、スマホを取り出す。

彼の連絡先、LINE、写真全部消した。
誰もいないのをいいことに私は号泣していた。
泣き疲れていつの間にか寝ていたのだ。

「終点ー。終点です」

アナウンスに驚いて慌てて飛び降りる。
こんな時までケーキをしっかり持っているあたり笑ってしまうけれど。

「ていうか、どこ?」

辺り一面広大な森だった。