閉まっているカーテンは三つくらい。そのひとつ、一番ナースステーションに近いベッドに案内された。カーテンを開くと、そこには酸素マスクをされて寝ている朔と、付き添っているお父さんが。朔はメガネをしておらず、いつもより悪い顔色でまぶたを閉じて寝ていた。


「お父さん、朔の様子は?」

「色々検査してもらったよ。今はその結果を待っているところ」


朔の腕には点滴の針が刺さっていた。ベッドのちょうど腰のあたりにビニールのバッグが提げられている。黄色の液体がその中に少し溜まっていた。多分、自分でおしっこをするために起きられないから、トイレに行かなくてもいいための処置をされたんだろう。

頭の方には、点滴台。その反対側には何かのモニターが。規則的にピッピッと鳴っているそれはドラマなんかで見た覚えがある。心拍数とか血圧を測っているのか? そこから朔の胸に、何本も細いコードが繋がっていた。

目の前の現実があまりにも重くて、指先が震えた。これじゃまるで重病人じゃない。さっきまで、普通だったのに。今さっき、喧嘩したばかりじゃない。