パン二袋分のお金とエコバッグを渡されて、私は家を出た。目指すはあの公園の近くのスーパー。そう、あの私が眠ってこの夢に入り込んでしまったすべり台のある、あの公園の近く。自転車で行けば三分だ。

こきこきと自転車をこいでスーパーに向かい、目当てのシールがついたパンを買った。ほんと、これくらい自分でやりゃいいのに。今日一日の楽しい思い出がパンの思い出になっちゃうじゃない。心の中で悪態をつきながら帰ろうとすると、ふとあの公園が目に入った。

日曜の夜。もう誰もいない。大人も子供も、みんな家に帰ってしまったみたい。そろそろと青信号を渡り、公園の方に近づく。

ここ、二歳に今の家が建って引っ越してきた頃から、よく遊んだんだよね。現実で想史が昔手を繋いでくれた盆踊りをやるのもここだった。

気が付けば、自転車を駐輪場に止めていた。かごにパンを置いたまま、ふらふらと公園に入っていく。どうして私はこんなことをしているんだろう。公園なんかに用はないのに。

そう思っているのに、体は不思議な引力に引っ張られるようにどんどん公園の中に足を進めてしまう。

いつしか、たくさんある遊具の真ん中にあるすべり台の前にたどり着いていた。どうして。ここには近づきたくないのに……。