「わあ、餃子! やった~」


お母さんの手作り餃子は買ってきたどのお店の餃子より美味しい。けど、手間と時間がかかるから、最近ご無沙汰だったんだよね。


「これはお父さんの。焼きたてを食べてもらわなきゃ」


喜んだ私の前をスルーし、お母さんはお父さんの前に餃子を運んでいく。テーブルの上にはすでにビールとお箸、枝豆が乗っていた。


「食パン買うの忘れちゃったのよ。ちゃっと行ってきて」


そりゃあまだ七時にもなっていないし、余裕だけど。


「そんなの、メールしてくれれば良かったのに」


そうしたら帰りにどこかのコンビニで買ってきたのに。二度手間じゃん。


「手がベタベタでできなかったのよ」


たしかに、餃子の餡を練って包んでいたら手はベタベタだけど。それくらいできるでしょうよ。


「それに、パン祭りの点数シールが付いてるのじゃなきゃ……」

「あーもうわかった。行きます、行ってきますよ」


あるメーカーのパンを買って、点数シールを集めるともらえるお皿をお母さんは狙っているらしい。あんな何の変哲もない白いお皿、どうして何枚も欲しいのか。すでに同じようなお皿が食器棚に溢れているのに。意味不明。