「ううん、大丈夫」
笑顔を作ると、想史はホッとしたような表情を見せる。
「良かった。このあと、暇?」
「うん」
私は部活もないし習い事もバイトもない。ずーっと暇です!
「じゃあ、いいところに連れていってあげる。行こう」
「いいところ? それってどこ?」
たずねると、想史はにこりと笑った。
「知ってるかもしれないけどね。とにかくメシ食ってから動こう。腹減ったー」
想史はペタンコのお腹をさする。しまった、私って気がきかない。練習後にお腹が空くのなんて当たり前だもの、何か持ってきてあげればよかった。
デキる彼女なら、お弁当とか作ってくるのかな。そんな大げさなものでなくても、ロールパンを切ってソーセージを挟むぐらいのものならできたのに。くっそ~。
そんな後悔をしているのは私だけで、想史は全然気にしてないみたい。結局学校から歩いて十分ほどのところにあるセルフのうどん屋さんで想史はざるうどんとてんぷらを二種類食べ、私は明太子が乗っている釜玉うどんを食べた。あまり色気のない食事はゆっくりする雰囲気でないお店なこともあり、すぐに済んだ。