いいなあ、私もマネージャーやればよかったな。そうした想史と共通の話題がひとつ増えるし、カッコイイ姿をすぐそばで見ていられるのに。そんな動機で務まるものなのかわからないけど。

私と想史も、あんな風に下級生が憧れちゃうような二人になれるかな。そう考えて、ふと寂しくなる。

なれるわけないじゃん。これは夢なんだもん。いつかは覚めるんだ。それは、もうすぐかもしれない。

現実の世界でアラームが鳴って、自分の指でそれを解除したら、この夢も終わり。こんなにキラキラした瞬間を、目が覚めた途端忘れてしまうんだろう。

そう思うと切なくて、きりりと胸が痛んだ。こっちの想史は私の心が作りだしたただの幻想。現実の想史は当たり前だけど、私の夢の中で自分が私の事を想っていただなんて知るはずもない。

……そんなの嫌だ。そんなの、悲しいよ……。

校門に背中をもたれさせてうつむくと、ふと足元に長い影が落ちた。


「どうした。熱かったからしんどい?」


前髪を分けられ、おでこを触られる。まぶたを開けると、想史が心配そうに私をのぞきこんでいた。良かった。まだ夢の続きだ。