「やったー!」


想史、すごい! かっこいい! その場で飛び跳ねると、想史と他の部員何人かの視線を感じた。やばい、目立っちゃった。

こそこそと木の陰に移動する。試合はそれからも続いた。想史はそのあとも味方のアシストなんかで活躍していて、前半戦は味方チーム優勢で終わった。見ていた他の部員にビブスを渡し、想史がコートから出ていく。その瞬間、一気に見る気をなくした。

スポーツをしている人たちってみんな格好良く見えるけど、もともとスポーツに興味はない。朔がやってたし、家でも試合を見てたりしてたから、ルールはわかるけど。

朔もああやって練習していたのかな。穂香が何回か見に行こうと誘ってくれたけど、断っていた。知らない生徒にまで朔の妹だと認識されたくなかったから。

ぼんやりしている間に、試合終了のホイッスルが鳴った。結局想史のチームが勝ったみたい。上級生から『やったじゃないか』と言うように笑顔で頭をなでられている想史の顔は人懐っこくて、可愛い。

試合中の真剣な顔もカッコよかった。こんな風に想史の色んな顔が見られるなら、現実でも穂香と一緒に見に来ればよかったな。