「ありがとう~!」
彼氏ができた私にとって、この資金はありがたい。だってやっぱりメイク道具とか欲しいもん。遊びに行くんだって、なにかとお金がかかるしね。
「そう言えば、テストの結果どうだったの?」
お母さんの冷静な声でハッと我に返る。テスト……七十点という微妙な点数のテスト用紙をおそるおそる見せると、お母さんはふむふむとうなずいた。
「はい、よく頑張りました」
「えっ」
よく頑張っただって? いつも九十点代の朔と比べては『なんで瑠奈はもうちょっとできないのかねえ……』とため息をついていたお母さんが?
「塾も行ってないのにこれだけ取れれば上等でしょ。まだ一年生だし。来年からはちょっと考えなきゃいけないけどね」
「そ、そう」
なにこれ。比べる対象がなければ、七十点でもじゅうぶんってこと? 朔が良すぎたから、私が悪く見えてただけ?
ちょっとアホらしくなる。勉強は自分のためにやるもんだけどさ、こうも評価が適当だと、正直やる気なくすなあ。
でも全くやらなくなって点数がた落ちしたら怒られるのは目に見えているので、今後も今まで通り、適度に頑張ろうと心に決めた。