けれど教室に入ってきた先生が紙束を持っていたから教室がざわざわする。そのおかげで少し目が覚めた。


「夏休み明けにやったテストを返すぞ~」


帰ってきたテストは良くも悪くもない、七十点。微妙。朔はどの教科のテストもいつも九十点代だったんだよな。まあ、私はこんなもんか。

そういえば現実世界でも、英語は七十点だっけ。そう思うと不思議だ。現実は今日9月22日のはず。だけど今休み明けテストが帰ってきたってことは……。日直が黒板に書いた日付を見る。するとそこには9月8日と書いてあった。

やっぱり。ちょっとずれてる。曜日が一緒で良かった。そこ違ってたら、忘れ物ばっかりになったかも。

眠いながらもなんとか目を開け、真っ白なノートを凝視する。そして今一番気になっていることをかりかりと落書きし始めた。


『夢→9月8日 現実→9月22日』


変な夢。どうして私は現実世界のことを覚えたまま夢の世界で生きているんだろう。夢の内容って目を覚ました頃にはほとんど忘れてしまっているけど、じつは毎回こんな感じだったりして。


『朔がいない』


これも書いてみた。朔という存在が、この世界にはない。でも、もしかしたら。