めくってもめくっても、いつも隣にあったはずの朔の姿がない。ピンクの服を着た赤ちゃんの私。園児の私の横には小さな想史が写っている。けれど、どこにも朔がいない。

全部のアルバムを開いてみるけど、結局ひとりも朔を見つけることができなかった。一緒にしまってあった母子手帳も開いてみたけど、私の分しかない。

双子は手帳の中に産婦人科医に『双胎』と書き込まれるものだし、多くの双子が早産になるため、低出生体重児になりがちだ。私と朔も体重が少なくて少しの間保育器に入っていた。でも、そんな記述はどこにもない。どうして。呆然として座り込む。


「あーあ、こんなに散らかして。どうしたのよ瑠奈。今日はおかしいよ」


お母さんがドアのところからのん気に言った。

朔が、いなくなった。ううん、いなくなったんじゃない。それなら朔命のお母さんはもっと泣き叫んで大騒ぎするはず。


「私……産まれた時から一人っ子だった?」


アルバムを見つめたまま聞いてみる。


「なに言ってんのよ、当たり前じゃない。記憶喪失ごっこ? 気味悪いからやめてよ」


呆れたように笑いながら、お母さんは一階へ降りていった。スリッパを引きずって歩く音が聞こえる。